健康被害を及ぼすVOC(揮発性有機化合物)とは?油性塗料と水性塗料の違いも解説
投稿日:2023.1.24 更新日:2023.3.2

外壁塗装や屋根塗装に使用する塗料は「樹脂+顔料+添加剤」で構成されています。塗装で使用する場合、この状態では硬くて塗れませんので、塗りやすくなるように希釈剤を混合して液体にします。
塗料には油性塗料と水性塗料があり、二つの塗料の違いは液体状にするための希釈剤の違いで分けられます。
この中で油性塗料はシンナーで希釈しますので刺激臭を発し、この刺激臭で気分を悪くしてしまう方もおります。刺激臭を発するのはシンナーが原因しており、シンナーは有機溶剤とも呼ばれていまして、VOC(揮発性有機化合物)を放出します。
VOCはシックハウスなど人体に影響を及ぼしますので、塗料の臭いや身体の心配をされる方は、塗装工事を行う際、油性塗料にするか、水性塗料にするか、慎重に塗料をお選びください。
本日は油性塗料と水性塗料の違いや人体に影響を及ぼすVOC(揮発性有機化合物)についてお伝えしたいと思います。
【塗料には油性と水性がある】
冒頭でもお伝えしたように塗料には油性と水性があります。二つの塗料について以下にご説明しておりますのでご覧ください。
【油性塗料とは?】
油性塗料はシンナーで希釈する塗料でして、強溶剤塗料と弱用意剤塗料があります。耐久性や適用下地の柔軟性、乾燥時間の早さは油性塗料が優れております。
シンナーにはVOCを含んでいるため臭いがきつく、人体に影響を及ぼし、シックハウス症候群など健康被害を与えるため取り扱いには注意が必要です(VOCの詳細は後述します)。
【水性塗料とは?】
水性塗料は水で希釈する塗料です。油性塗料のようにシンナーが含まれていませんので、臭いが少なく、人体への影響も軽減されています(安全とされていますが、まったくVOCが含まれていないわけではありません)。
水性塗料は1液と2液があり、2液型は硬化剤を別に混合する必要があります。技術開発が向上して水性塗料の機能性も向上しましたが、一般的に塗膜性能は油性塗料の方が高いと言われており、乾燥時間がかかること、金属や塩ビ、木部などの下地にはまだ適応性が低いなどのデメリットがあります。
【VOCとは?】
VOCとは揮発性有機化合物のことで、沸点50℃〜260℃の大気中で気体となる物質の総称です。塗料ではシンナー、造膜助剤、添加剤の一部などにVOCは含まれ、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの物質があります。
VOCは揮発しやすい物質でして、人体にも影響を及ぼし、シックハウス症候群などの原因となります。シックハウス症候群とはVOCなどによる室内汚染によって及ぼす健康被害のことで、症状は呼吸器障害、中枢神経障害、吐き気、めまい、頭痛などがあります。
現在の住宅では高気密・高断熱化により、換気率が下がり、化学物質による空気汚染が起こりやすくなっています。新鮮な空気を常に取り入れる換気システムを取り入れる必要があり、現在では空気を自動的に循環させてくれる24時間換気を取り入れるように建築基準法で義務化されています。
【塗料・塗装に関する化学物質の規制】
建築基準法では塗料や塗装に関する化学物質の規制はホルムアルデヒドのみです。ホルムアルデヒドもシックハウス症候群の原因の一つとなっており、VOCよりも沸点が高くVVOC(高揮発性有機化合物)に分類されています。
ホルムアルデヒドの沸点は−21℃なので常温では常に気体です。人体への影響が強いため、現在では塗料を含み、その他の建材はホルムアルデヒドの放出等級を明示し、その等級で使用制限がされています。
ホルムアルデヒドの放出等級はF☆で明示されており、☆の数(最大4つ)で制限を区分しております。各ホルムアルデヒドの放出等級の制限は以下の通りです。
【ホルムアルデヒド放出等級】
F☆☆☆☆:規制対象外(制限なし)
F☆☆☆:第3種発散建築材料(使用面積に制限あり)
F☆☆:第2種発散建築材料(使用面積に制限あり)
F表記なし使用禁止
現在の塗料のほとんどはF☆☆☆☆なので、ホルムアルデヒド値に問題はありません。
外壁塗装をお考えの方はこちらの「外壁塗装に失敗しない!契約前に知っておきたい大事なポイント!」をご覧ください。
【油性塗料と水性塗料はどちらがいい?】
ここまで油性塗料や水性塗料、VOCについてお伝えしてきました。外壁塗装に使用する塗料は油性塗料と水性塗料があります。油性塗料だとシンナーで希釈するためVOCを含み、身体への影響は注意しておく必要があります。
ここまでご覧になると身体への影響が少ない水性塗料の方がいいのではないかと思うはずです。実際に現在では人体や環境の配慮のために油性塗料よりも水性塗料を積極的に採用される割合が高くなってきております。
しかし、まだ耐久性の高さや下地の適応性から油性塗料を選ばれることも多々あります。建物の状態や環境によって油性塗料の方が適している場合もあるのです。もし、油性塗料を選び、その臭いが気になる場合は、不織布マスクや有機溶剤用の防毒マスク(臭いがきつい場合)をつけるか、工事中は外出するなどの対応をしましょう。
VOCを懸念する方や乳幼児、お年寄り、療養中の方がいる場合は水性塗料を検討すべきでしょう。また、水性塗料は油性塗料のように刺激臭を広げることはありませんので、近隣への配慮にもなります。
当社は塗料のご相談もお待ちしております。建物診断は無料で行っておりますので、気になることやご不明な点などがございましたらお気軽にご相談ください。
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